Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

DESIGN FESTA 2020.11(5)

By
All Photo by inos

一時期テレビでも取り上げられる事の多かった食品サンプル。美味しそうなメニューを本物そっくりに作る職人の技。それを超ミニチュアサイズで実現したのがこちらのコーナー。通り過ぎる人が皆足を止めて手に取ってみる、そんな注目のブースでした。

食品サンプルって本物そっくりに作るだけでもかなりノウハウが必要だと思いますが、それをこのサイズ感で実現ですよ。写真に撮るなら隣にスマートフォンでも置けばサイズ感がよく分かったかもしれませんが、今回はスマートフォンによる撮影でしたので置いてみるわけにもいかず。

言葉で説明するなら ”指先サイズ” が最適な表現になるかと思います。それでこのクオリティですからどれだけ手先が器用なんでしょう。製作工程までは聞きませんでしたが、想像するに、実物で型取りをして3Dデータに起こし、データ上で縮小を掛けて3Dプリンターで型を作成、そこにロウやレジンを流し込んで出来た下地に着色とかですかね? それくらいの工程を踏まないとこのクオリティは出来ないような気がします。

ただこうした作品は実用性があるものではありませんから飛ぶように売れるものでもない気がします。どうでしょう、街の定食屋さんで紙ベースのメニュー代わりに「はいこちらがメニューでーす」ってアクリルケースにこれらの食品サンプルがずらりと並んだものを持ってこられたら結構面白くて話題になりそうですけど。そういう定食屋さんあったらいいですね。

今年もありましたデザインフェスタで恒例になりつつある ”暗いエリア”。このエリアは光を工夫した作品を中心に展示しており館内照明は最小限。お祭りの出店を見るような感覚でワクワクです。ただ、以前に比べると多少出店数が少なめでしょうか。

水が浮いて見えるアロマディフューザーだそうで。目の前の水の流れの不思議現象に皆目が釘付け。ケースの真ん中を直径1cmくらいの水が流れているのですが、その流れはどう見ても下から上へ。勿論上から下へ流すこともできますが、その流れは一直線ではなく数珠のような水玉が一直線に連なった形。

え、どうして水が下から上に上がっていくの?と誰もが疑問に思うわけですがその仕組みを聞いてみるとなるほど納得。秘密はこのケース内を照らすLED照明にあって、人の目には連続点灯しているように見えるライトを実は超高速で点滅させており、その点滅周波数と流れ落ちる水の速さをうまく同調させることで水が下から上に流れているような錯覚を起こさせるのだそう。あれですね、蛍光灯の下で扇風機を回した時、ファンが逆回転して見えるのは蛍光灯の光の点滅速度が関係しているのと同じ原理。

なるほど色々なものを考える人がいるものです。ただあまりに見た目のインパクトが強すぎてアロマディフューザーとしての機能は全く印象に残りませんでした。

こちらは月の絵をバックライトで照らしている...ただそういう絵なのだろうと思って見てみました。確かに後ろから光を当てるだけで随分綺麗に見えるものだなと。光を通すということは月の部分だけ小さな穴が開いているということです。これだけ穴を開けるのは相当根気がいる作業と想像します。

昔ならこういうのは光ファイバーとかで実現したでしょうが、今はLEDフラットライトなどがあるので月以外の背景部分も真っ暗にならず雰囲気が出せるのだと思います。原理的には液晶ディスプレイに近いですね。

ただ驚くことにこの絵にはちょっとした仕掛けがあって、視野角を変えて横から見るとなんと月が消える仕組みになっています。すべて見えなくなってしまうと月の存在そのものがなくなってしまうので輪郭だけが細く残るようなアイデアが盛り込まれています。

話を聞くとこの絵は穴を開ける角度などを工夫しており、見る角度によって月の満ち欠けが再現できているのだそう。1枚の絵なのに横から見ると新月、正面から見ると満月になるという表情豊かな作品。話を聞かなければ気づかなかったですが原理を知ればとても魅力的な絵に見えてきますね。

表示の明るさにもよりますが極わずかな輝度にして寝室に飾ったら真っ暗な夜が楽しくなりそうです。

コメントを残す

*
*
* (公開されません)