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1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

谷川岳に紅葉を見に行く(2)

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All Photo by inos

この日、群馬県は谷川岳に日帰り登山に挑戦したわけですが、前半のロープウェイとリフトによるお気楽観光は昨日紹介したとおり。

今日ご紹介するのは後半戦となる本格登山。ただし我々は普段から登山などしておりませんし、テレワークによる運動不足で足腰も弱り気味ですから、登頂を最優先するのではなく行けるところまで行こう!というくらいの楽な気持ちで挑戦。

こちらの写真はリフトを降りた標高1,500メートルの登山開始ポイント。正面に高く聳えるのが谷川岳。登頂した場合は標高約2,000メートルの一番高いところまで行くことになります。

長野出身の私からすると標高2,000メートルと言ったらそれほど高い山の部類ではないのですが、ここ谷川岳は一般向けの登山ルートもなかなか険しいですし、何より危険な山として有名。谷川岳は通称 ”魔の山” と呼ばれており、情報によれば世界一死者が出ている山でこれまでに800人以上がここで命を落としているとされています。

80人の間違いではなく800人です。この数字は世界各国の8,000メートル峰14座の死者の合計より多いと言われていますから甘く考えてはいけない登山です。

展望台から登山をスタートししばらくすると足元よりかなり低い位置に先ほどロープウェイを降りた天神平が見えました。この高低差はリフトの力でヒューッと上がってきてしまったので我々の努力の結果ではありません。

本当に感動出来る景色を見たければこの先己の足で登るべし!

登山スタート直後のこの辺りはまだ紅葉を見て楽しむ余裕がありました。そうそう、本来今回ここを訪れたのは紅葉を見るのが目的でしたからね。こうした小さなディテールも見逃さずにゆっくり進みます。

モミジがちょうどいい具合に色づいていますね。今度自宅でもモミジの盆栽でも始めようかと検討中。

危険な登山と聞きながらも実際の登山ルートを進んでいくと意外にも木道が整備されており比較的歩きやすいじゃないですか! これなら体力に自信のない私でもゴールまで行けそうです。

ただしアップダウンが結構あるのでせっかく苦労して登ったのにどんどん下ってしまったりで、リフトを降りた場所との標高差約500メートルの登山とはいえ、数字より長く険しく感じます。

オフシーズンというか紅葉の時期でなければこんなに多くの人が押し寄せることはないのでしょうけれど、この週末は天気予報を信じて訪れる人が多かったようで登山道はご覧の通り。ロープウェイ運行開始時間の1時間後くらいで我々は登り始めましたから、早い人は頂上から下山してくる人もいたりして、この道でのすれ違いは結構大変でした。

誰ですかロープウェイとリフトで簡単に登れるようなことを言ったのは! 実際の登山はこの岩場と急斜面。鎖に捕まったり、両手両足を使って這い上がるように登って行きます。

先ほども書きましたがこの道で下山する人達とすれ違うのです。道を譲ろうにも険しすぎて最適な道筋が一本だとしたらどちらかが無理した足場で進むことになります。むしろ上りより下りの人の方が怖かったでしょうね。

険しい上りばかりが続くわけではありません。登山道は広くはないにせよ傾斜が少し緩やかになれば脚を止めて前方を眺めては最高の景色を楽しむ事ができます。

この辺りがちょうど森林限界にあたる標高なのでしょうかね。これまで道の両脇に生えていた木々が急になくなり視界が広がりました。頂上まではあと少し! と自分に言い聞かせ頑張って足を進めます。

歩きながら左を眺めると全体が茶色く染まった山がどっしりと構えておりました。よく見るとポツポツと黄色や赤の木が見えて、筆先で原色の絵の具を置いた油絵のようでした。その様子からしてこの標高ではもう紅葉のシーズンは終わりを迎えていて間も無く冬がやってくる感じでした。

この辺りからです、標高にして1,650メートルくらいでしょうか。急に風が強くなり始め気温がぐんぐん下がりはじめました。谷川岳は天候が急変する山としても有名らしく、いよいよその時が来たか!と心のどこかで覚悟しました。

出発した時に遥か遠くに見えていたオジカ沢ノ頭と思われる峰がもうすぐ横に見えていました。私などロープウェーを使わなければまず見られなかったであろう景色です。なるほど800人もの人が命を落としているというのは、我々が歩いたような登山道ではなくこうした断崖絶壁を登ってくる人なんだろうと想像してみました。

雪こそまだありませんがもうすぐここは真っ白な銀世界になるのでしょうね。

登山開始から2時間が経過。ここは天狗の溜まり場と呼ばれる場所。標高1,680メートル。遠くに登山開始場所の展望台が点のように小さく見えます。

結果を言うと我々はこの場所で今回の登山を断念しました。その理由はあまりの強風と寒さによるものです。頂上まではあと1時間も歩けば到着すると辺りから声が聞こえてきましたが、とにかく風が強いのです。

ほんの15分くらい前までは無風に近かったのにここにきたら吹き飛ばされてしまいそうなほどの冷たい風。予備で持っていった服は2枚重ね着して体温キープ。帽子は飛ばされないよう保育園児のように顎紐をつけました。

予定では頂上付近でお昼ご飯を食べるつもりでいましたがこの人数が頂上付近に集まれば座る場所の確保さえままならないだろうと判断しこの場でおにぎりをかじりました。

天狗の溜まり場は大きな岩が集まっておりその上に立てば更に綺麗な景色が望めたのかもしれませんが、あまりに風が強くカメラなど構えていて滑落する恐れがあったため今回は泣く泣く少し下山したこの景色を収めるに留まりました。遠くに見えるのは赤城山でしょうかね。

いやぁ、本当は谷川岳の頂上から周囲に続く尾根を見たかったんですけどね、苦渋の決断でした。いえ、あの場であの風はちょっとヤバいな!って思いましたよ。多少のことなら無理して強行する私が引き返したくらいですから。

今回登頂を断念し引き返したポイント ”天狗の溜まり場” はこの位置。こうして見ると本当にあと少しで頂上だったんですけどね。天候には逆らわないのが賢明と判断した結果です。また次回チャンスがあれば登頂に向けて挑戦してみたいですね。ただし登山道の歩きやすさを考慮してなるべく秋の紅葉シーズンではなく春から初夏くらいが良さそうな感じ。

この後下山して近所のドライブインに暖かいお昼を食べに行ったところでポツポツ雨が降り始めました。山頂付近はどんな天気になっていたのでしょう?

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