Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

Apple Watchをサイクルナビに使うにはちと厳しいか

, …
By
All Photo by inos

私がApple Watchを購入した最大の理由はサイクルナビとしての活用。ウォッチフェイスに地図表示! 子供の頃思い描いた未来がここにあるみたい!

現在トレンクルに装着しているサイクルコンピューターはGARMINのEdge800なるモデル。振り返れば2011年に購入したもので、日本語版は高額かつ発売時期が遅いとの理由で、英語版の並行輸入モデルながら自ら強引に日本地図をインストール。目的地の日本語検索こそ出来ないもののルート案内は問題なく可能で重宝してきました。スポーツ走行を目的としたサイクリストと違い、14インチの折り畳み自転車のルート案内には贅沢すぎたくらい。

しかしそんなEdge800も購入後12年が経過すればインストールされている地図は古くなり、案内されるルートも随分不自然な道だったり、バッテリーを100%充電しておいても2時間ほどでEmptyになってしまうため、もう数年前から買い替えを検討していたところ。

ところが、いわゆる走行データを見るのではなくナビとして地図表示付きのサイクルナビとして実用に耐えるものとなるとそれなりに高価。それでいて使用頻度はせいぜい1ヶ月に1度くらいのものですからちょっと勿体無いなと。

そこで視野に入ってきたのがApple Watchというわけ。これであれば自転車だけでなく歩行時のナビとしても使え表示地図は常に最新、iPhone連携で目的地の設定はシームレス、日常使いとしてもメールや通知が届き、好きなアプリを追加すればその活用法は更に広がっていくというのだからまさに未来のデバイスじゃないか!と。

さて、前置きが長くなりましたがそんなわけで先日このApple Watchを使って実際に自転車ナビとして使えるかどうか検証してみました。今日はその結果報告。

購入したApple WatchはUltra2だからして、契約さえすればeSIMにてスマホなしにもモバイル通信が出来ますが、常時iPhoneを持ち歩いている私としては現時点でその必要性を感じないためモバイル通信なしのiPhoneペアリングでの運用。その前提でポケットやバッグの中にiPhoneを仕舞ったままの状態でWatchひとつでナビゲーションを行い、自転車で目的地まで辿り着けるか? が今回の検証内容。

とはいえ、この検証ではWatchが正しい案内をしてくれるかどうかを確認する必要があるため、iPhoneは見える場所に置き2つのデバイス間の地図表示とルート案内を比較しました。

設定したルートは近所にある2つの公園間を移動する2.6km。使用するアプリはApple純正マップ。まずはiPhoneで行き先を指定し自転車での経路を選択。ルート案内を実行すると流石はAppleさん自動的にWatchもナビ画面に切り替わります。この辺りの連携動作はさすがと言わざるを得ません。難しい操作は一切不要、よく出来ています。

ルート案内開始直後の地図表示が上の画像。画面左がiPhoneに表示されている地図、画面右がWatchに表示されている地図、確かに二つのデバイスは完全同期して現在位置も案内も整合性が取れています。さてこのままいざ出発!

出発から数百メートル走行し大きく左折を促されるタイミングが近づいてきました。私はこの辺りの土地勘があるため地図など無くても走行できますので、あえて「そろそろ左折だな」という場所で2つのデバイスを確認してみました。

するとどうでしょう、上の画像にあるようにiPhoneとWatchで表示している地図が全く違います。実際に走行している位置は左側のiPhoneのマップの自己位置が正しく150m先を左折というのが妥当な案内です。

一方Watchはというと...これさっきのスタートポイントの場所じゃないですか! ただ注目すべきは下に表示されている右左折ポイントまでの距離を示す数値が「---」となっている点。地図が更新されていないだけでなく距離数値も消えています。これはどういうことか?

ここにはApple Watchをナビとして使う上で大きな落とし穴がありまして、地図更新がされないのはバグとか不具合では無くWatchの表示がスリープに入っている状況なんですよね。Apple Watchって初期の頃のモデルは常時表示機能がなく手首をクイっと自分の顔に向けたときだけディスプレイが表示される仕様だったんですよね。それがSeries5だったか6だったか、その頃から常時表示に対応しました。もちろんそれは私のUltra2も同様。

常時表示に対応したならマップでナビゲーション使用時にも地図が表示されるはず!と誰もが思いますよね? 私もその一人。しかしApple Watchは常時表示に対応したとはいえ常に描画が更新されているわけではなく、リアルタイム更新は手首をクイっと返した時は5秒程度、画面タッチをして表示させた場合は15秒(設定で70秒)だけです。

今回のようにマップアプリを使ったナビゲーション中もそれは例外なく動作し、今回で言えばナビ案内を開始して自転車で移動を始めた5秒後にはWatchはスリープに入ってしまい画面更新がかからず、いっぽうiPhoneはリアルタイムに更新され現在位置を表示するため、あるタイミングで2つのデバイスを比較すると表示されている地図は全然違う!という結果となるわけ。

理屈は分かりますがそれじゃWatchにマップを表示してもナビゲーションとして機能していないじゃん! という勿れ。実際そうぼやきたいのは私なわけで! このナビゲーションのためにApple Watchを購入したわけですからね。回避策を探すのです。

スリープに入った事で表示地図が更新されないならスリープを解除してあげれば良いわけですから、クイっと腕をひねりWatchを自分の顔の方へ向けてあげれば自己位置を含む地図表示および次の右左折ポイントまでの距離が最新情報に更新され上の画像のように正しい表示に戻ります。iPhoneとWatchで同じ位置が表示されているのが確認できますね。

しかしこれには大変不満が残ります。地図が更新されるのはWatchがスリープから解除された5秒間のみで再びスリープに入ってしまいますから、最新情報を表示し続けるためには度々腕をクイっとひねる必要があるわけです。地図を見るために片手運転は必須というわけです。危なくないですか!

とはいえアメリカのように一本道を数キロ走ってその先を曲がるという道路事情なら不便はないはずです。考えてみれば時計のディスプレイを5秒以上見続けながら走ることのほうが危ないといえば危ないわけで。最新情報は5秒表示されれば十分でしょ、そのほかの時間は前を見ているのだから情報を更新する必要なし! ごもっともでございます。

では日本の道路事情はどうでしょう? 私が走るのはこちらの画像のような住宅街。20メートル先を左に曲がったらすぐに10メートル先を右...みたいな繰り返し。この時Apple Watchのナビゲーションではちょっと苦しいですよね。10メートルや20メートルなんて距離は自転車であれば数秒で移動してしまうのでWatchの画面がスリープから解除され最新情報に更新されている間に次の交差点が来てしまう...。リルートが掛かりますがその間にWatchはスリープしてしまう...。これでは埒があきません。

しかも上の画像の地図では90メートル先を右と言われていますが、その手前に2段階で左折があるのを通知してくれていないので、この時Watchがスリープに入っていて自己位置を正しく表示してくれていなかったらもうお手上げですね。一応手首への振動とアラームで右左折を促す通知があるのですが、それも画面スリープによって表示されているマップとの間に不整合が起きている状況ですから何を信じて良いのかわからず。

Apple Watchのナビゲーション機能はリアルタイム地図更新が前提のCar Playと連動させた車での使用、もしくは余裕を持ってスリープ解除に対応できる徒歩であれば何ら問題ありませんが、自転車移動での使用は安全性を考えるとちょっと現実的ではないような気がしてきました。

第一の目的をサイクルナビゲーションとして購入したApple Watch、さあどうしよう...。

コメントを残す

*
*
* (公開されません)