Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

六本木アートナイト2017(4)

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All Photo by inos

 

今年の六本木アートナイトのメインアーティストは蜷川実花さん。実は私はこの方をそれほど詳しく知らなかったのですが、調べてみると写真家さんだったのですね。そして数年前に話題になった映画ヘルタースケルターの監督さん。

私が到着した時には既に凄い人でごった返していた六本木ヒルズアリーナ、丁度その蜷川実花さんによるトークセッションが開催されていたのです。

見た者の記憶に一瞬で刻み込まれる派手な色使いと展示の特徴は写真や映画だけではなくジャンルを超えた蜷川実花ワールド。今回はこのステージそのものもアーティスティックに演出。

こういった演出、そういえば何処かで見た事があるなぁと振り返ると今年の春に訪れたGINZA SIXでの写真展示

そう、あの桜の写真作品もそして壁面さえ写真にしてしまった展示方法も今思えば蜷川実花さんの写真展だったのですね。それが誰の作品かなど気にも留めず、当時はただ刺激を受けて帰ってきた私ですが、今回のアートナイトで初めて点と点が線で繋がった気がしました。私が好きな写真とは全く異なる世界観ですが、枠に捕らわれないこの人の演出からは違った刺激が貰える事に気がついて改めて好きになりました。

 

私にとってある意味身近なアートと感じたのがこの光学作品。映像関係の仕事をしている知人も「今回一番面白かった」と口にしていたくらいですから、印象的な展示だった事は間違いありません。

巨大なライトボックスの前にフィルムで出来た短冊がぶら下がっているだけ...言ってしまえばそれだけなのですが、実はこれ液晶テレビの画面から偏光フィルターを剥がし、そのフィルターを短冊状に切ってぶら下げているのです。

すると偏光フィルターを失った液晶パネルは単なる白いバックライトと化し、仮に映像信号を入力したとしても人の目には白いパネルにしか見えず、手前にぶら下げた偏光フィルターの短冊を透過した光のみが映像を映し出す為、結果的に短冊の模様が映像信号によってどんどん変化するような結果が得られる...という発想。

考えましたね...というか液晶テレビを分解してみて偶然発見したんじゃないか?という感じがしなくもないですが、エリアごとに展示された個人の作品の中では一番賑わっていたコーナーでしたね。偏光フィルターのサンプルも配っていたので渡された短冊で白いパネルを見ると映像が現れるという体験も見せ方が上手かったように思いました。

同じくヒルズの中に見つけた、こちらも何やらインパクトのある展示。全てが毛布のような生地で作られており忠実に人の輪郭を再現している感じ。全て等身大で作られていましたので恐らく生きた人間で型をとって毛布生地でそれを固めたのでしょうけれど、あまりにリアルすぎてちょっと怖かったです。

この中にいったい何人の人形が隠れているか分かりますかね? 撮影した私でさえちょっと数える自信がありません...。ここでは希望者に同じ柄の毛布が貸し出され、顔だけ出した状態で記念撮影が行われていました。

この辺りまで見た時点で時刻はだいたい22時過ぎ。予定では終電ギリギリの24時くらいになるかと思っていたのですが、想像より随分早く満足して帰る事にしました。そして後になって気付くのです...何か忘れてやしないか?と。そう、朝までやっているから大丈夫だと後回しにした森美術館に行くのを忘れておりました。まあそちらはまた来年ですね。

アート好きな方はこのまま終電時刻を超え朝まで楽しんだのでしょうね。ミッドタウンでも25時から29時まで深夜のみ公開されるエリアがあったようですし、どんちゃん騒ぎではない静かなお祭りはなかなか面白いと思いました。これがハロウィンパーティーのように、内容はさておきただ騒ぎたいだけ!みたいなイベントになってしまうと街の反対なども出てくるでしょうから長続きしないでしょうけど。2009年から開催されていると言いますからそれなりに認知されているのでしょうね。

今後はもっと個人アーティストも参加できるようになって、街のあちこちでフリーマーケットのように作品が並んでいたら面白そうだと思いました。来年も是非足を運びたいと思います。

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