Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

新しい車に乗ってみた

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All Photo by inos

HONDA s660と言えば 2013年の東京モーターショーでコンセプトモデルが発表 され、ショーモデルがほぼそのままの形で量産化された注目のスポーツカー。発売当初は注文が殺到して随分待たされた人も多かったのだとか。今はだいぶ落ち着いたようですね。

そんなs660、少し前に兄が購入したという話を聞いていましたので今回長野(南部)の実家に帰省したタイミングで見せてもらいました。車好きな私の事ですから今まではこういう車が発売されると真っ先にディーラーに足を運んで試乗するタイプですが、この車とFIAT500だけはあえてそれをせずに来ました。本気で欲しくなってしまいそうでしたからね。

小さくまとまりの良いパッケージングを好む人にはストライクゾーンのデザイン。コンセプトモデルでキラキラしていたグリルやテールも市販車ではブラックアウトされ落ち着いています。ボディーカラーは好みの分れるところらしいですが、こうしてみるとやっぱり白が一番似合いそうですね。そこに嘗てのBEATを感じたいのなら黄色を選ぶでしょうし、男は黙って黒だとか、人との差別化を狙ってブルーなんて考えもありますが、この車の場合はルーフの色を先に決めてからボディーカラーを選ぶのが後悔しない買い方のような気がしました。

写真に掲載したこのソフトトップの赤はs660発売当初に限定販売されたモデルの物で標準品は黒いルーフです。兄はこの赤いルーフがお気に入りらしくパーツで入手して組み合わせたようです。確かにこの色のルーフなら白いボディが似合いますよね。差し色になっていてとてもお洒落です。

そうなると処理が難しいのが黄色いナンバー。最近は ”図柄ナンバー申込サービス” を利用する事で軽自動車でも白いナンバープレートが手に入りますが、私的には黄色いナンバーって好きですね。こういう車は軽自動車なのにいっちょまえのスポーツカーだから魅力があるのであって、白いナンバーにしてしまうとロードスターでも良くなってしまう...。まあ好みですかね。

実際に運転させてもらったところ目からウロコ的な驚きがありました。以前BEATを運転した事もあったので想像していたのはその延長線の進化だったのですが、この車はBEATとは全く違っていて一言で言うならば ”現代の技術で作ったコンパクトスポーツカー” でしたね。

”現代の技術” というのは電子制御バリバリで人間の意思を機械がくみ取ってコントロールしてくれる!という意味ではなくて、車そのものの設計が最新の技術で計算されているという感じ。例えばそれはボディの剛性だったり、エンジンのチューニングだったり。この日は分からなかったけれども燃費と走行性能を両立させる空力とかもきっと。

ボディ剛性というとGが掛かった時や段差を乗り越える時にボディにねじれが発生するみたいに語られる事が多いですが、この車の場合はそういう剛性以外に ”遊びが無い” って感じがするのです。遊び心ではなく無駄が無いってほう。シフトをするにもアクセルやブレーキワークにもハンドル操作にもいっさいの遊びが無い...。普通はそういうのを求めていくとエンジンの揺れを減らす為にマウントやブッシュを硬いものに変更したり、ギアハウジングを固定したりするわけですが、そうすると振動や音を拾いやすくなって快適性は損なわれますし、助手席の人でも分かるようなリジッド感が出てしまいますが、この車の場合はソフトで快適なのに遊びがない...。多分そういったピンポイントな対応ではなくボディ全体の力の分散とか、柔らかくするところと固めるところをトータルで設計しているんだと思います。だから気持ち良く乗れるし意のままに動く感じがすごく楽しい。流石、メーカーが作ったスポーツカーって感じなのです。

そして驚いたのはエンジン。660ccの64psは昔から変わらぬ軽規格のそれですがかなり低めの回転からトルクが太い。こちらはターボですからNAのBEATと比較してその傾向にあるのは当然としても、1,300ccの私のMINIよりトルクあるんじゃないか?と思うくらい車を前に押し出す感じがします。それも唐突ではなく、ターボを感じさせないというか、確実に過給器が効いている加速をするのだけれど実にマイルド。上流式スーパーチャージャーみたい。バルブタイミングも可変でしょうからチューニングは変数が多すぎてとても難しい事をしているのだと思います。メーカー規模の企画設計費が無ければ実現出来ないような絶妙な吸排気設計なのでしょうね。

世の中的には「もっとパワーを」みたいな期待もあるようですが、私はもう ”仕上ってる車” って感じがしました。この完成度で何も犠牲にせずパワーだけ上げるような事が出来るのかな?と。

   

気付けば長文になってしまいましたが、簡単にまとめると ”欲しくなってしまった” という事です。私も昔はMAZDA Roadsterに車両代金以上のチューニング費をつぎ込んでサーキットを走れる車に仕上げて乗っていましたが、その頃求めていた走る気持ち良さはもうこの車に全部詰まっている...そんな感じさえしたんですよね。それも随分高いレベルで仕上った市販車として。

その後、東京に戻る為に乗り換えた愛車MINI。直後に感じたのは ”やっぱり設計の古い車だな” っていう感想。勿論、操る事の楽しさは負けていませんが、遊びが多い...それを含めて楽しむのがオールドカーですね。

しょっぱいものを食べた後は甘いものが食べたくなり、甘いものを食べればしょっぱいものが食べたくなる...ちょうどそんな具合に人は無い物ねだりをする生き物ですね。

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