Simply mini J

1日5分、その日の自分を振り返る時間を作りなさい。
    昔そんな話をお坊さんから聞いた。

DESIGN FESTA 2019.5(5)

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All Photo by inos

他と比べると比較的地味な展示ではありましたが、ここの前を通れば日本人なら必ず目に飛び込んで来たのではないでしょうか? 大迫正鋒(あいうぉん)さんのブース。その名も ”令和商店”。

なぜ令和商店という名前かと私から尋ねる前にご本人より説明があり、令和グッズしか扱わない潔いブースなんだとか。確かに机の上の全てが令和と書かれておりました。せっかくなのでそのまま令和パネルを持っていただき写真を撮らせてもらいました。

その時はお礼を言ってそのまま帰ってきてしまった私ですが、頂いた名刺を帰宅してからよく見ると ”書道家” と書かれておりました。つまり机の上に並んでいた書は全てご本人が書いたものだったのですね。てっきりテレビで放送されたホンモノをスキャニングとかして令和グッズとして販売しているのかと思いましたが、この方はガチの書道家さんだったのです...。だって並んでいる作品のどれもがコピーしたかのような統一感で綺麗すぎたため、まさか手書きとは思ってもみず。大変失礼しました。

WEBページなども拝見させていただいた所、商品ロゴや店頭ロゴなども本職として手がけているようでどれも納得のアーティスティックな作品が多かったです。あえてアーティスティックと書いたのは単に綺麗な文字を書くというだけでなくアートとして見られる作品という意味です。

以前、書の彫刻と呼ばれる作品を世に送り出す紫舟さんという方について書いたことがありました。平面の文字を鍛造により金属のオブジェとして3次元に表現する独特の手法が有名で、その存在感は唯一無二。

でもこの大迫正鋒(あいうぉん)さんももしかしたらそうした特別な書道家としてこれから活躍していく人なんじゃないかと思いましたね。なぜって実は単なる書道家ではなくAfterEffectsを代表とするモーショングラフィックスや映像編集を得意とする ”まさに令和時代の書道家さん” なのです。

すでに番組タイトルの作成などは手がけているようですがVR作品などにも手を出しているようですから、いずれ3次元空間に浮かぶ新しい書の見せ方などにも期待が持てますし、3次元書道ゲームなんてものも出てくるかもしれませんね。今後の活躍が楽しみです。

こちらは消しゴムはんこのブースを構えていた ”くぼみの木” さん。消しゴムはんこって一般的に想像するのはせいぜい簡単な犬の顔とか、「みつを」みたいに自分の名前をひらがなで入れてみるとかその程度のものだと思っていましたが、こちらのくぼみの木さんの作品はその細かさに度肝を抜かれました。人間業とは思えない小さな小さな文字の一つ一つが消しゴムでできている...。

上の写真の一番手前にあるハンコなんて、5W1Hの文字くらいは頑張ればどうにか作れそうですが、その下に並ぶごちゃごちゃした文字まで全部ハンコで出来ていますからね。もはやこの文字サイズになると手書きすら難しくてパソコンで打ち込んでプリントアウトする他ないだろう?とさえ思うのですがそれを手作りで実現しているのですから脱帽です。

製作方法を聞いてみたところ実際に手彫りで削っていくのはこれより一回り大きいサイズの板で、それをマスターとして8割ぐらいのサイズに縮小したものを加工業者に発注するのだとか。でも流石に業者側もそこまで小さな文字サイズは対応できない場合もあるらしく、もう少し大きくしてくださいと返ってきてしまうとか。多分これが消しゴムではなく金属の板であればある程度小さな文字にも対応できるのでしょうが、柔らかい素材だからこそ小さな文字の加工というのが難しいのでしょうね。

今すぐに私が必要とするものではありませんが、ボタニカルグッズなどを作る際のラベルに応用できそうで、この場でも名刺をもらってしっかりチェックしておきました。

絵や文字を作品として売っていく...このスタンスが私は結構好きです。アクセサリーを作って売っていく!みたいなのはまあなんとなく売り手と買い手の関係性が分かりやすいですが、絵とか文字ってカタチそのものにお金を払うというより、そこに描かれた世界観を持って帰るようなところがありますよね。

絵や文字を持っていたからといって何一つ生活が変わるわけではないけれど、その作品を見るタイミグその時々で感じが方が変わったり、元気付けられたり、勇気付けられたり、自分を見つめ直すきっかけになったり。だから本来はお金には変えられない価値あるものだと思うのです。

そういうものって普段は作家さんの個展を見にいくとか偶然街でギャラリーを見つけるとかして立ち寄らない限り接する機会が少ないですし、自ら探して見にいくような作家さんであるなら既にその作風を知っていて行く事が多いわけですから、自分の想像を超えた発見はなかなか期待できません。その点こうした大規模なイベントの場というのは普段の生活からかけ離れた出会いがあってなかなか面白いと感じています。

しゃくとりのひとりごとさんのこちらのブースも短い1フレーズで物事を柔らかく伝える...そんな作品が並んでおりました。言葉だけで歩いている人を立ち止まらせるわけですから凄いですね。

デザインフェスタ、いったいどこまでがデザインでどこからが自由なのか境界が曖昧ですが、毎回凄い格好で会場を盛り上げる人達がいます。この被り物をした人は恐らくどこかのブースの人なのだと思いますが、前方があまり見えないのか別のスタッフに支えられながら歩いていたところ無理を言って写真を撮らせてもらいました。しっかり笛を吹くポーズまでしてくれて。

いつも思うのですがこうした衣装はいったいどこで手に入れるのでしょうね? その衣装を手作りしているからこのイベントに参加しているという事なのかもしれませんが。イベント中はともかく普段自宅の押入れにしまっておくのはちょっと怖そうですね。うっかり夜扉を開いたら自分がびっくりしてしまいそうです。

形を変えれば身近なものだって立派なオブジェになる見本みたいなブース。むしろ見慣れたものが形を変えているからこそ注目を浴びるのでしょう。何かに使えそうですが何に使えるかひらめかず購入には至りませんでしたが、こうした一つ一つの刺激が自主制作の肥やしになりますからなるべく沢山の作品を見たり触ったりしてきます。

結局今回のデザインフェスタ、東京ビッグサイトの1Fと4F全てのブースを見るのに6時間以上も歩きました。戦利品は少なめですが自分でもまた何か作ってみたい、そう思えただけで十分な収穫。

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